2011年4月27日水曜日

政策系大学院と自治体政策形成(6)

以上の考察を踏まえて、地方分権時代における自治体の政策形成に関する提案をしたい。

第1は、前述のような政策分析能力を有する人材の養成を急ぐべきである。

自治体の有する地域資源を活用し、かつ地域特性を踏まえた独自性の高い政策の立案を行おうとしても、現状では、専門的な政策課題に対する洞察力や政策分析能力を併せ持つ人材が圧倒的に不足している。しかし、こうした政策分析能力はいわゆる企画課だけの専売特許ではない。なぜなら、政策分野あるいは部署ごとに抱える課題やテーマは異なっており、それらがますます高度化し専門的になっているためである。

そこで、当該自治体において政策的に重要と考えられる課題に対応したセクションごとに、“政策分析のプロ”としての職員を戦略的に配置できるように養成すべきだ。職員の政策系大学院への自主進学にのみ依存するのではなく、大学院派遣制度を創設活用することで意欲のある職員を組織的にバックアップすることも重要である。こうした人材は年に数名程度しか輩出できないかもしれない。だが、行政内部からの変革を促進するチェンジ・リーダーとしての期待は大きい。

(出所)佐藤徹「自治体の政策形成と政策系大学院」『マッセOSAKA研究紀要第6号』(財団法人大阪府市町村振興協会 おおさか市町村職員研修研究センター),平成15年3月,pp72-77から一部抜粋、加筆修正。