第2は、政策系大学院修了者のキャリアパスを考慮した環境整備を行うべきである。
政策系大学院を修了し一定レベルの政策形成能力を身につけた職員を組織の有用な人的資源ととらえ、いかに政策形成に活用できるかはいずれの自治体にも共通の課題である。
この点につき、たとえば大学院修了者に条例制定や計画策定への参加機会を与えることや各種プロジェクト・チームのメンバーに抜擢参画させるなど、できるだけ意思決定過程や集団討議にコミットさせることにより、大学院で培った能力が発揮できるような人事的配慮も必要であろう(注)。
政策能力のある職員を育成することは組織内のシンクタンク機能を充実させることができるだけでなく、大学院修了者が職場に増えることで政策的議論のレベルアップや組織風土の変革にも寄与するはずだ。
(注)筆者の知る限りでは、せっかく政策系大学院を修了してもそれとは全く無関係の部署に配属させられる例があまりにも多いように見受けられる。
(出所)佐藤徹「自治体の政策形成と政策系大学院」『マッセOSAKA研究紀要第6号』(財団法人大阪府市町村振興協会 おおさか市町村職員研修研究センター),平成15年3月,pp72-77から一部抜粋、加筆修正。