2010年10月23日土曜日

創造型政策評価の実践(2)―群馬県安中市

安中市では、行政改革審議会に行政評価部会を設置し、行政評価の導入にむけた検討を行いました。その結果、先行する自治体と同じ轍を踏まないようにすること、具体的には「創造型政策評価(CPE)」を導入しようとなったわけです。

平成21年4月、市長、部長を対象とする「経営者研修」の実施を皮切りに全庁的な行政評価の導入を開始しました。以後、管理者研修、一般職研修、実務者研修、ファシリテーター養成研修、集合型ワークショップ研修を開催し、職員の意識の醸成と職場におけるワークショップを中心とした創造型政策評価の導入を進めました。
ファシリテーター養成研修では、私も講師として丸4日間、講義と演習を行いました。

CPEの特徴は、毎年浅く広く評価するのではなく、必要に応じて(毎年ではなく)対象を絞り込んで深く議論しながら評価しよう、というものです。平成21年度は事務事業の棚卸し結果から100事業を選定しCPEが実践されました。

今年度は、上記の取り組みに加え、行政改革審議会委員による外部評価も実施されました。先日、私も午前10時から午後4時半まで、事業担当課職員の方々にヒアリングを行いながら評価作業を行ってきたところです。

「行政職員の能力開発」や「行政組織の生産性向上」は行政改革の中心的課題ですが、これらを単に職員研修で対応するのではなく、普段の行政活動の中にビルトインする仕組みがCPEであると言えます。

創造型政策評価の実践(1)―群馬県安中市

わが国の自治体では、1990 年代後半以降、コスト削減、成果重視の行政運営、職員の意識改革などをねらいとして、急速に行政評価の制度的導入が進められてきました。
果たしてその運用レベルにおける「内実」はいかなるものか。

この点につき、研究者だけでなく自治体職員自身からも、「評価は曲がり角に来ている」「単に仕事が増えただけ」「評価疲れを起こしている」・・・といった指摘も少なくありません。

こうした閉塞的状況から脱出する手立ての1つとして、私は近年、創造型政策評価(Creative Policy Evaluation :CPE)を提唱し、その実践的普及につとめています。

『創造型政策評価-自治体における職場議論の活性化とやりがい・達成感の実現』(公人社、2008年)
「創造型政策評価の実践法」『月刊地方自治職員研修』2009年7月号~11月号連載

CPE は単に無駄なコスト削減に終始するのではなく、分権時代の自治体に要請される「人材育成」「組織活性化」に寄与する次世代型の評価システムです。

平成21年度には、わが国で初めて、群馬県安中市でCPEが導入されました。