なぜ政策系学部・学科や政策系大学院が急速に設立されたのであろうか。
様々な要因が考えられるが、主な背景としては次の2つがあるだろう。
第1は、複雑で混沌とした現代にあっては、政府や地方自治体は現実の課題と問題点を迅速かつ的確に把握するとともに、問題解決に向けた具体的な方策を打ち出さねばならず、これまで以上に高い政策能力が必要とされている点で
ある。すなわち、従来型の思考回路や行動形態では激動の現代社会に十分対応できない。それゆえ既存の学問体系にとらわれることのない学際的な政策研究の必要性が増すこととなった。
第2は、大学を取り巻く環境変化である。少子・高齢化の急速な進展により、これまでの18歳入学者の確保が困難となり、大学入学者の年齢層に変化をもたらすこととなった。また、大学間の提携、国公立大学の独立行政法人化(注)、大学の第三者評価、大学の地域貢献・社会貢献への要請など大学改革に向けた取り組みが具体化した。生き残りをかけた、いわば社会から選ばれる大学への転換を余儀なくされた。こうしたなかにあって、大学は中央省庁や地方自治体等で働く社会人の政策形成能力や政策分析能力の養成機関としても社会的役割を果たそうとしたものと考えられる。
(注) 平成23年4月1日、高崎経済大学も市立大学から公立大学法人へと移行した。
(出所)佐藤徹「自治体の政策形成と政策系大学院」『マッセOSAKA研究紀要第6号』(財団法人大阪府市町村振興協会 おおさか市町村職員研修研究センター),平成15年3月,pp72-77から一部抜粋、加筆修正。