1990年代以降、国公立大学・私立大学を問わず、政策系学部・学科や大学院が急速に設置されてきた。
高崎経済大学においても地方分権時代の人材育成をめざし、地域政策学部が平成8年(1996年)に設立された(注1)。最近では2011年4月には愛知大学地域政策学部、龍谷大学政策学部が開設されている。
一方、政策系大学院についても主要大学で一通り設置された感がある。進取の気性あふれる若手の自治体職員が政策系大学院へ自主進学するケースや、厳しい財政状況にも関わらず政策系大学院への職員派遣制度を創設する自治体も珍しくない(注2)。
しかし、そもそも政策系大学院に学ぶことが個人の政策形成能力の向上にどれほど貢献するのであろうか。
しかも政策系大学院で学んだ知識やスキル、ひいては政策系大学院を修了した者が自治体の政策形成にどのように活かされるべきなのだろうか。こうした疑問が浮かび上がってくる。
そこで、まず政策系学部・大学院の設置動向やその背景を概観したうえで、次に自治体職員が政策系大学院で学び何を得ることができるかを検討し、これらを踏まえて自治体の政策形成に関して考えてみたい。
(注1)高崎経済大学の地域政策学部は日本初の「地域政策学部」とされる。
(注2)どちらかと言えば1990年代は職員派遣制度を有する自治体は多くはなく、昼夜開講制であっても必修科目を履修するためには休暇を取得せねばならないケースも見られた。
(出所)佐藤徹「自治体の政策形成と政策系大学院」『マッセOSAKA研究紀要第6号』(財団法人大阪府市町村振興協会 おおさか市町村職員研修研究センター),平成15年3月,pp72-77から一部抜粋、加筆修正。