先月(2月)は2度にわたって、(財)未来工学研究所において科学技術振興機構「政策のための科学」に関する検討会に委員として出席した。
同研究所の野呂研究員によれば、欧州委員会では新たな取組を提案する前にそれが有すると思われる潜在的な経済的、社会的、環境的な結果を評価する、インパクト・アセスメント(Impact Assessment)に関するガイドラインが整備されているという。
IA は、見込まれる政策オプションの潜在的なインパクトを評価することによって、その利点や不利な点に関して政策立案者にエビデンスを用意するプロセスであるが、たしかに日本では国・地方自治体ともあまり進んでいない領域かもしれない。もっとも、進んでいない要因や背景は種々想定されるが、そのひとつは米国で1960年代から1970年代初頭に行われたPPBSを連想させるからではないか。精緻かつ計量的な分析予測は業績測定(事後評価)よりも労力が極めて大きい。専門性も要求される。PPBSの挫折という経験を経て、その後は事後評価へと傾倒していき今日に至っている。
しかし時代は巡るものである。検討会でも話題になったが、再び「事前評価」のブームが訪れるのだろうか。
ところで欧州委員会のIAは、EUらしくSustainable Developmentの3要素を色濃く反映させた内容となっており、興味深い。
いずれにせよ、PPBSの失敗から学ぶべきことは多いし、あれから約40年経過しているわけだが、現代にふさわしい事前評価のあり方について検討すべき時期に来ているかもしれない。
<参考>
欧州委員会のImpact Assessment